天使への判決
ケンジが今の関係に満足しているかどうかは解らない。
ケンジの気持ちを詮索し、気に入られる女になり縋るつもりもない。
例え恋人だろうが、相手に媚びるなんて真っ平だった。
そんな鬱陶しい感情が恋と呼ぶなら、私には一生恋する事は訪れないだろう。
私は私の好きなように生きていくし、ケンジはケンジの好きなように生きればいい。
私はケンジの耳元に唇を寄せた。
耳朶に付くか付かないかのところで、性欲を挑発するように囁く。
「ケンジにとって、私は何なの?」
右手で優しく太ももを弄る。
「そうだな…
敢えていうなら、天使かな」
「なぜそう思うの?」
「俺にこの世の幸せを気づかせてくれた
リサが居てくれたら何でもやれそうな気がするんだ」
「そうなの?」
「ああ…
俺はリサのためなら、人を殺す事だって惜しくはない」