天使への判決

翌日、私は検査のため、病院に来ていた。

会社には、検査が終わり次第出勤するつもりだったが、専務からは休むように言われている。


お陰で久しぶりにのんびりした一日になりそうだ。


午前中の応診で検査を終えた私は、中庭のベンチに腰を下ろした。


秋晴れの日差しが芝生の上に木漏れ日を落とす。


「リサちゃん!」

私を呼ぶ声が聞こえ、声の方に目をやると、白衣の格好のミキ姉ちゃんがこっちに手を振っていた。

ミキ姉ちゃんは時々立ち止まり、患者さんに挨拶を交わしながら小走りで駆けて来る。


「ミキ姉ちゃん!」

私も笑顔で手を振り返した。


彼女は小柄で実際の年齢よりも若く見える。

こんな事言っては失礼なのだが、女の私から見ても可愛らしいという言葉が相応しい。


今日の検査はミキ姉ちゃんを通じて予約を入れてもらっていた。

沖縄から電話した際に『ランチを一緒にしよう』と約束していたのだ。


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