天使への判決
私は、周囲に会話が聞かれないように声を潜めて、最近の出来事をなるべく細かく説明した。
ケンジが持っていたニ冊のファイルの内容、そして私の会社と二社の関係。
ミキ姉ちゃんは時折、食べる手を休めながら、私の話に聞き入るように頷く。
「偶然にしちゃあ、よく出来た話ね」
「そうでしょう?
高山さんもピュアリスに絡んでいた訳だし…
なんか嫌な予感がしてしょうがないの」
「嫌な予感っていう問題じゃないわ…
あなた、そんな事を知りながら、まだ木山さんを置いておくつもり?」
ミキ姉ちゃんは眉間にしわを寄せると、腕を組んで私の目を見つめた。
私はおそるおそる言葉を選びながら口にする。
「うん…
ケンジね、私のところに来るようになって…今までのアパート解約したらしいから」
「はあ…そんな問題じゃないのよ…
いい?リサちゃん?今あなたが話した事が全て真実として、もし警察の耳にでも入ったらどうなると思う?」
私は叱られた子供のように下を向いて黙ってしまった。
「これは立派な恐喝罪よ
そしてあなたも同罪で疑われてしまう可能性が高いわ」