天使への判決
「悪い事は言わないから、今すぐ木山さんと別れて、出ていってもらいなさい」
「やっぱりそうだよね…」
誰が聞いてもそう言うのだろう…
「もし、あなたが木山さんの事を愛してるなら、恐喝を辞めさせるって方法もあるけどね…」
「愛してる…かぁ…」
食事を終えるのと同時に、私たちのテーブルに食後のコーヒーが運ばれてきた。
「あ…どうも…」
マスターの顔を追って、ふと後ろを振り返ると、
店に入った時は空いていたはずのすぐ後ろの席に、五十代半ばと思われる
男が座っていた。
後ろ姿なので顔は判らないが、スーツ姿だったため、サラリーマンだろうと思った私は、気に留める事なくミキ姉ちゃんとの会話を続けた。