天使への判決
「私ね木山さんに対してあんまりいい印象は持ってないなあ…
そこまでイケメンではないのに、なんか自分に絶対の自信のようなものを持っていて、そのくせ、自分の事はあまり話したがらないし…ちょっと取っ付きづらいっていうか、壁があるんだよね。
でも何より、やっぱりリサちゃんは普通の人と付き合うべきだと思うの」
ミキ姉ちゃんはコーヒーに砂糖を入れながら頬杖をついた。
甘党の彼女は食後のコーヒーに必ずスティックシュガーを2本は入れる。
細長い袋から白い粉が落ちていくのを眺めながら私は言った。
「普通の人って、どういう人の事を言うの?」
私は少しばかりイライラしていた。
相談を持ちかけたのは私なのだが、ここまでケンジの事を否定されてしまうと、なぜだか嫌な気分だ。
私は彼の職についてどうこう言うつもりもないし、そういう世界だって堅気の人達と何ら変わらない商売をしている人は多い。
「普通の人って、そのままの言葉よ
あなたには普通の人と付き合って、普通に結婚してほしいの」
「ケンジが普通じゃないって言いたいの?」
「そうよ、リサちゃんは頭が良いから分かるでしょ?
木山さんって、見かけもそうだけど、やってる事もそのまんまじゃない!」
私はケンジの悪口を聞きに来たんじゃない。
ミキ姉ちゃんにケンジの何が解るのよ。