天使への判決
「もういい……」
私は伝票を持って席を立った。
ミキ姉ちゃんの言ってる事は正しい。
しかも、私の事を思っての本心だと思う。
ケンジの仕事も性格も、少しだけ知っているミキ姉ちゃんだからこそ出てくる的確な意見……
そんなこと…
私だって…
わかってたんだ…
二人分のお金を支払い、振り向く事なく逃げるように店から飛び出した。
きっと…私は…
わかっているから誰かに話したかっただけなんだ。
こうやって、いつも私は自分の気持ちから逃げてばかりいる。
ケンジとの今の関係にしてもそう。
そして…
いつしかケンジを心から愛してしまっている自分自身にさえも
ごまかそうとしている……