天使への判決
静まり返る会議室に、専務の怒鳴り声が響き渡る。
カタカタカタ…
『だ・い・じ・な・し・ご・と・を・ま・か・す・こ・と・は・で・き・な・い』
議事にする必要のない専務の怒鳴っている言葉を、私はそのまま入力した。
隣から私のパソコンを覗きこんだユウコが、笑いを堪えて、真っ赤な顔になっている。
「おい、松山!」
「は…はい!」
専務に急に名前を呼ばれ、慌てて顔を上げた。
皆の視線が私に集中する。
「後で私のところに来るように」
専務はそれだけ言い残すと、何も言わずに会議室を後にした。
専務の機嫌を損ねた会議は、その時点で中止。
残された役員やスタッフも、何事もなかったかのように資料をまとめて会議室を後にしていた。