天使への判決
人を愛する事が、怖かった。
人と人は出逢うと、いつか必ず、別れなければならない日がやってくる。
両親との別れのような悲しい想いを、人を愛するたびにするなんてまっぴらだった。
過去、恋人と呼べる人物には何人も出逢った。
私はその都度、その人を愛してしまう前に、自分自身に急ブレーキをかける。
『この人を愛してはいけない』
その気持ちが心の壁を固く閉ざしてしまい、結局相手に見切られて終わる。
そんな恋の繰り返し。
「俺はただの居候か?
…それとも同居人か?」
ふと、ケンジの言葉を思い出した。
「俺はリサにとって、何なんだ?」
過去にも何度となく言われ続けてきた言葉。
私は…
ケンジの事を愛する事ができるほど、
…強い女じゃない。