天使への判決
第4章
1.広告の女
ミキ姉ちゃんからはあれ以来、メールも電話もない。
私は自分が悪かった事を知っていながら、なんとなく自分から謝れずにいた。
会社の屋上で景色を眺めていると、見慣れた丸い顔がひょいと私の肩の横に飛び出してきた。
「リサ、専務が探してたよ」
「…ん、…ありがと」
私は腕時計に目をやった。
間もなくピュアリスに行く時間だ。
「リサ、最近元気ないよね。何か悩み事?」
ユウコが心配そうに私の顔を覗き込む。
「違うよ、ピュアリスの撮影が立て続きだったから、疲れてるだけ」
「いいなあ、リサは…綺麗だから…
あのピュアリスの広告に出演するんだもん」
「まだ決まった訳じゃないから…」
専務から話があったのは昨日。
私をモデルにしたスチール写真の出来映えが、あまりにも良かったので、実際の広告物にも、このままモデルとして私を使う事を提案するそうだ。
仮にコンペで勝ったとしても、一般の素人モデルの起用をピュアリスが簡単に受け入れてくれるだろうか……