天使への判決
「敢えて言うなら、お前が得策だな」
「そうですか…」
私なんかで得策になるのだろうか…
「ああ、お前は気づいてないかもしれないが、その辺のモデルや芸能人なんかに比べたら、お前の存在感はずば抜けている。もう少し自信を持ったらどうだ?」
確かに私は安っぽい芸能人やモデルなんかに比べたら、容姿では負けてない自信はある。
でも、広告というのはあくまで視聴者の認知が高い方が有利だ。
一般の素人が出てきたところで、
『キレイな女が出ていた』
その一言で終わってしまう。
この会社で働いていたら、最近の視聴者がマスメディアに対してそのくらいシビアになっている事ぐらい、事務員の私でも解る。
「いくぞ!」
専務は、立ち尽くしたままの私を尻目にデザインバッグを手にすると、早足で出口に向かった。
「は、はい!」
私は慌てて後を追いかける。
今日の専務はいつもにも増して気合いが漲っているような気がした。