天使への判決
まあ、妖怪でも亡霊でもどっちでもいいんだけど…
その後も長らく専務から精霊についての話を聞かされ、いい加減うんざりしていると、ピュアリスの本社ビルが見えてきた。
都心から外れた郊外の一角。
ガラスに囲まれたそのビルは古い街並みの風景に突如現れた要塞のようにも見える。
「なあ、松山。
このミスマッチな風景が絵になると思わないか?」
専務はそう言いながら両手を前方に伸ばして親指と人差し指で四角を作ると、まるで被写体として捉えるかのように片目を瞑った。
ピュアリスは数年前に東証1部上場後、下請けの工場を吸収合併、
その敷地内に建てたのがこの本社ビルだ。
その際に工場で働いていた正社員を全て切り捨て、シフトの全てを派遣社員とパートに切り替えた事が話題となり、マスコミに大々的に報じられていた。
ニュースなど、何度かテレビで見た事あるが、実際に来たのは初めてだ。