天使への判決
「なあ、今日はアフターでもどうや?」

関西弁の声に我に帰る。

「どうせ近いうちに店辞めるんやろ?それに有名になってもうたらデートしたことあるって、自慢になるしな」

そう言って笑顔を見せる男。

「店にはいつまでいるんや?」


私は少し間を置いて答えた。

「今月までなんです」


モデルの仕事と、夜の仕事は両立できない。

ソフィアは今月で辞めさせてもらう事にしてもらっていた。



「なあ、人生に疲れた中年オヤジの我が儘、聞いたってぇな」

最後くらい付き合ってもいいか…

「どこに連れて行ってくれるんですか?」

「おお!寿司でもなんでもええぞ」

男はさぞかし嬉しいのだろう。

垂れた目尻をさらに下げ、だらしなく口元を綻ばせた。



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