天使への判決
店が終わり、歩いて約束の寿司屋へと向かう。
週末ということもあり、深夜を回っているにも関わらず、街は多くの人で賑わっていた。
詰め寄ってくる店のスカウトやナンパ目的の男達。
酒臭い人混みをすり抜けるように歩いて行く。
大通りから一本外れた路地裏にある寿司屋に着いた。
ここの寿司屋は芸能人、政治家、著名人が多く訪れることで有名だ。
それなりに金額も高く、一般人が敷居を跨げるような店では無いことは確かだ。
結構金持ちなんだ…
歴史を感じさせる古びた暖簾をくぐり抜け、店に入る。
中は妙に鎮まり返っていた。
10人掛けほどあるカウンター。
そこには客どころか、料理人の姿さえもない。
入口に置かれた大きな生け簀のエアーの音だけが店内に響き渡っている。
「こんばんは…」
週末の賑わいと対象的に、客の居ない店内…
不思議な違和感を感じながらも、店の従業員を呼ぼうと控え目に声を掛ける。
ひょっとしたら、営業時間が終わってしまったのかな…
そんな事を考えながら恐る恐る中に足を運ぶと、奥の個室からの大きな声が店内に響いた。
「おう!リサちゃん!こっちや、こっち!」