天使への判決
そんな永瀬とは対象的に背が低く、腹が出ているのがこの会社の社長、『有田昭吾』。
顔の両側に大きな福耳をぶら下げたその容姿は、大仏様を連想させる。
メディアからは一切取り上げられる事がなく、有田は永瀬に対していつも劣等感を抱いているようだ。
実際、永瀬の周りには常に女性問題があとを絶たないが、有田にはこれといった浮いた話を聞いた事がない。
「失礼します」
専務室の扉を開けると、イケメンと大仏様が先程の会議の時とは打って変わって、楽しそうに談話していた。
「おお!松山、来たか。」
永瀬は私が入って来たのを見て、ソファーに座るよう、手で指示をした。