天使への判決
「ケンジ……」
私の目に飛び込んできたのは、個室の隅でうずくまる、彼の憐れもない姿だった。
その顔は褐色に腫れ上がり、口元と鼻から血を流し、苦しそうに肩の辺りを押さえている。
金色の短髪と筋肉質の体型が、彼の面影をかろうじて残していると言っても過言ではない。
その横には関西弁のあの男と黒いスーツで身を固めた強面の男が一人…
「…な、何なの!?」
私は関西弁の男とケンジを交互に目を泳がせた。
男には、ソフィアで見せていた優しいイメージは微塵も感じられない。
「あ、あんた…ケンジに一体、何をしたの…?」
極度の緊張と恐怖でカラカラになった口から、かろうじて言葉を発する。
しばらく黙っていた男が、耳たぶを触りながらゆっくりと答えた。
「ネエちゃん…見ての通りや…」