天使への判決
「あんた、ピュアリスの件知ってんのやろ?」
男は鋭い目付きで私を睨み付けた。
この男はケンジとは違う…
その辺のチンピラとは訳が違う…
私は足がすくみ、身動きすら取れずにいた。
「今な、ケンジは大事な時なんや。中途半端に首突っ込んで大切な情報を流されたら叶わんなあ。」
男はケンジの痛々しい顔を横目で見た後、大きなため息をついた。
「あなた…ヤクザだったの…?」
渇き切った口元から、かろうじて声を振り絞る。
「そうや。でもな、ここにおる堅二と違うて、俺は堅気の女なんぞ相手にせえへん。
巻き込んだらえらい事になるしな。」
男はそう言って、テーブルの上に置かれたセブンスターを一本抜くと、口にくわえた。