天使への判決


「仕事を辞めろって言いたいのね?」

男は私の問いには答えようとはせず、目の前の料理に手を伸ばした。


「生憎ですが、私は仕事を辞めないわ。
だからと言って、ピュアリスの秘密を誰かに洩らすつもりもない。
どうせ私なんかが誰かに喋ったところであんな大企業がどうにかなる筈がないでしょ。」

毅然とした態度で振る舞おうと声を張り出す。


「う〜ん…あんたがそう言うのは大体察しがついとった。
仕事に問題があるって言ったのは、あんた自身やなくってな…

あんたの上司の事や。」


「上司…?」


「ああ。

永瀬っていう男がおるやろ?」


この男の口から永瀬専務の名前が出てくるなんて思いもしなかった。

突然発せられた名前に私の思考が止まる。


「永瀬はな…中山組と繋がってんねん。」


中山組…?
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