天使への判決
以前、ケンジの口から何度か聞いた事のある名前。
確かケンジを刺したチンピラのいる組だ…
「確かに専務の永瀬は私の上司よ。
でも、彼がその組と繋がっているなんて嘘よ。」
専務がヤクザと繋がっているなんて…
情報収集家のユウコからもそんな噂一言も聞いた事が無い。
「まっ、信じるか信じないかはネエちゃんの勝手やけどな。
要はピュアリスの情報もその永瀬が中山に売り渡したネタや。
もう一社の機械加工の会社もそうや。」
「久山精機…」
高山さんの実家が営んでいたという会社だ。
その言葉を聞いて、私の頭の中を専務に関するいろいろな噂が駆け巡る。
高山さんの関係…
ピュアリスとの関係…
この男の言っている事は妙に信憑性がある。
「リサちゃん…」
男の顔つきが、店で見せた優しい表情に戻る。
「とにかく…
永瀬とかいうあの男を信用せんこっちゃ。
どうもあんたは素直すぎていかん。」