天使への判決

「堅二の事も一緒や。
堅気の女がなあ、わしらの様な人間を受け入れるには、相当な覚悟がいるやろ。
中途半端な恋愛ごっことは訳が違うんや。」


男はケンジをチラッと見た。


「こいつはヤクザとしても、人間としてもまだまだ半人前や。
さらには組内部の問題も山積み…

今は恋愛ごっこにうつつを抜かしてる場合とちゃうねん。」


男の真意は理解できないが、ケンジと私の関係を切りたいということはあからさまだった。


「シュウイチさん…」

それまでうずくまっていたケンジが身体をゆっくりと起こした。


私の方をチラッと見た後、言葉を選ぶように話し始める。


「彼女は…リサは…

俺が生まれて初めて本気になった女なんです。

女性に対してこんな感情があったということを気付かされました。

恋愛ごっこじゃなく、真剣なんです。」


ケンジはそう言うと膝まづき、男の前に土下座した。

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