天使への判決
目の前のケンジの姿に、胸が締め付けられるように痛む。
「お願いします!」
頭を擦り付け続けるケンジ。
男はその髪の毛をわしづかみにすると、自分の目の前にぐいっと引き上げた。
「なあ、堅二、何をぬかしとんねん。」
男の顔つきが険しくなり、冷たい視線がケンジに突き刺さる。
「このネエちゃんは仕事に差し支えるんや。
女にうつつを抜かしとる暇ぁあったら、ナオキの居どころ早よう探さんかい。」
何か言わなきゃ…
頭の中で言葉を必死に探すものの、何も思い浮かんでこない。
「リサとは別れません!」
ケンジがきっぱりと言い放ったその時、
隣で沈黙を保っていたもう一人の男の足がケンジの頭を捉えた。
「!!!」
ガシッ!!!
鈍い音がしたのとほぼ同時にケンジの身体が壁に打ち付けられる。