天使への判決
「シュウイチさんに何を偉そうな事言ってんだ!!
おお!?」
男はさらに、倒れ込んだケンジの腹部を蹴り上げた。
止めて…
お願い…
苦しそうに顔をしかめるケンジ。
私は立ち竦んだまま、何も出来ずにいた。
「なあ、リサちゃん…
あんたの仕事に関してはあんたの自由や。ただし、あんたが知ってしまった情報と、堅二の事は忘れてくれへんか?」
ケンジ…
私があのファイルさえ見なければ、こんな事にはならなかった。
でも…
これでいいんだ…
解っていた。
ケンジとは住む世界が違っていた。
だから怖かった。
私達の関係は、誰も幸せにはならない。
「分かりました…」
私は、そう言って俯いた。
「な…
リサ……?」
「ケンジ、これでいいのよ。
私はケンジの仕事に対して、何も言うつもりはないわ。でも…いつか否定しないといけない時が来るの。」