天使への判決
男は耳たぶを触りながら、しばらく私の目を見つめた後、
「まあええわ、ケンジの事は心配せんでええ。」
そう言って、グラスのビールを飲み干した。
決して信用などできるはずもない口約束。
おそらく、この世界にいる限り、ケンジの身の安全など保証はできないだろう。
そんな事はわかってる。
しかし、この男は何故か信頼できそうな気がした。
それに、どんな形でもいい…ケンジと離ればなれになる今から先の、心の不安を和らげる何かが欲しかった。
「こいつは多少無鉄砲なところがあるからな、今まで以上に監視させてもらうわ。」
そう言って、男は目尻を下げて微笑む。
ケンジの痛々しい姿に目をやった。
こんな事になったのは全部、私のせいだね…
許してなんて言えないよ…
ごめんねケンジ…