天使への判決
3.探る女
私はミキ姉ちゃんにだけ事の成り行きを全て話した。
私にとって彼女は唯一身内のような頼りになる存在。
今回の事では迷惑ばかりかけている。
「別にいいのよ…」
素直に謝った私を、ミキ姉ちゃんはあっさりと許してくれた。
「でも、あの二人が来た時にはさすがに参ったわ。病院の入院患者に迷惑がかかるかもしれないんだもの。」
ミキ姉ちゃんがあの二人に、私の何を話したのかはどうでもよかった。
特に何事もなかったと聞き、ほっと胸を撫で下ろす。
「ミキ姉ちゃん、私ね、やっぱりケンジの事、どうしようもないくらい好きみたい。」
ミキ姉ちゃんは、私の言葉に特に驚いた様子も見せず、「そう…」とだけ言って頷いた。
「でもね、別れて良かったって思えるの。私達は付き合っていてもお互いが傷付け合うようなそんな関係。多分いいことなんてないから…」
「まあ…自分の事は自身が決める事だからね。」
私達が座っている病院の中庭のベンチの前を、二人の女の子が追いかけ合って遊んでいた。
一人の女の子は時折転んでは、すぐに立ち上がってまた走り出す。
「リサちゃんがここに来たのは、あの位の時だったかしら…」
ミキ姉ちゃんは微笑みながら二人の女の子を見つめた。