天使への判決

「ミキ姉ちゃん、何か飲む?私買ってくるよ。」

そう言って私はベンチから立ち上がった。



あっさりと許してくれたミキ姉ちゃん…

やはり身内の様な存在だと改めて感じる。



「本当?私もちょうど何か飲みたいなって思っていたところ。」

「この前のお詫び。私が出すよ。」



財布を取り出そうとバックの中に手を伸ばした時、ふと携帯が点滅しているのに気がついた。

メール…

誰だろ…


メールの受信ボックスを開いてみる。


専務からだった。


【来週から高山が復帰するのでコンペの事でいろいろ相談がしたい。今度の土曜日、食事でもどうかな?】


そうだった…

二人で食事に行く約束してたんだっけ…


あの時は、専務の妙な子供っぽさに、少しばかり母性本能をくすぐられてしまった様な気がする。

私は沖縄での専務との会話を思い出した。



『食事の後も考えておいてください』って…

私はあの場の雰囲気に流されて、とんでもないことを言ってしまったような気がする。




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