天使への判決
週末。
専務との食事はもちろんユウコの同席。
「専務!ここのサラダがもう、美味しくって!ちょっと食べてみてくださいよ!ほら!ジャガイモのスライスが生で入ってるんです!これがシャキシャキしてて、もう、すっごい美味しいの!ほら!あーんして!
あーーーーーん!」
さっきから、ユウコが専務に絡み続けている。
ユウコは店に着くなり、ものすごいピッチで焼酎を飲み続けていた。
店はユウコが選んだ。
ムードも何も無い、駅前にあるチェーン店の居酒屋。
私は、ユウコらしい店のチョイスに感謝していた。
「専務!専務!
ユウコは里沙みたいに美人じゃないけど、カメラ写りはいいのよ!きっとモデルになったら、全国の男性を虜にするわ!!」
ユウコは唐揚げを口一杯に頬張りながら、専務の肩を叩いた。
この女、こんなに酒乱だったっけ…?
専務の言動をずっと観察し続けていた私は、一杯目のビールをようやく飲み干そうとしている。
でもまあ、ユウコのおかげで気まずい空気を避ける事はできていた。
「松山、今日体調でも悪いのか?
あんまり酒が進んでないようだが…」
ユウコに寄り添われる身体を軽く避けながら、専務は私の方を心配そうな目で見つめた。