天使への判決
「もう!二人で会話しないでよ!」
ユウコが膨れっ面で専務を睨んだ。
酒ぐせの悪さもここまで来ると、もはや手の施しようが無い。
「はいはい。あんたはこれでも飲んでなさい。」
私は専務が注文したワインのボトルを差し出した。
シャトー・マルゴー
50年ものの赤ワイン。
なんで、こんなチェーン店の居酒屋でこんなものが出てくるのか?
と、一瞬驚いたが、どうも店員に言って、近くのイタリアンレストランから仕入れて来させたようだ。
「佐伯と松山のために注文した。今日は特別だぞ。」
うわっ…キザ…
少しキモいが、さすが専務。
放っていたら、店ごと買い取りそうだ。
「どうせ会社の経費で落とすんでしょ!?」
そう言いながら、まるで水を飲むように、高級ワインをがぶ飲みするユウコ。