天使への判決



「ほらな、俺の言った通りだろ?」

永瀬は嬉しそうに笑うと有田の肩を叩いた。

「いや、俺には判らないけど、お前がいいって言うんだからしょうがないよ」

有田は額に滲み出る汗をハンカチで拭きながら、私と永瀬に目を泳がせる。


状況の把握ができない私は、ただ黙って二人のやり取りを眺めていた。

そして次第に苛立を覚えてくる。

突然呼び出しておいて、私を試しているような言葉ー。


会社のトップ達というのはこういう生き物なのか…


そんな私の気持ちを察してか

「いや、悪い悪い」

そう言って永瀬は再び私の眼を見つめた。





「まあ、その、なんだ。

お前の洞察力は以前から気になっていたんだがな。


松山には明日から俺の秘書になってもらう事にした」



< 27 / 328 >

この作品をシェア

pagetop