天使への判決
無数のバイクの爆音が、警戒な音を立てながら夜中の静まり返った海に響き渡る。
「チッ…誰だよ噂を広めやがって」
ギャラリーとして集まった集団は、次第に俺達を囲むようにしてその場に居座った。
くだらねぇ奴らばっかだな…
地元で1、2を争う二人のタイマンとだけあって、ギャラリーは固唾を飲んで見守る。
「おい!てめえがどれほどのモンか知らんが、東京からいきなりこっちに出てきて、でけぇ面すんじゃねぇよ!」
俺はカツノリに歩み寄った。
カツノリは一見、ガタイは良いが小柄でとても喧嘩が強いとは思えなかった。
180センチに達する俺との身長差は20センチはあるだろう。
俺は見下ろすように睨みを利かせるとカツノリの胸ぐらを掴む。
「お!ナオキ!行け!」
「早いとこやっちまえ!!」
指笛を交えながらギャラリーが囃し立てた。
意気込む俺に対して、カツノリは終始無表情だ。
俺はそのスカした態度に対し憤りを隠しきれずにいた。