天使への判決
どれだけの時間殴りあっていたのか、記憶は定かではない。
時間が経つごとに大勢いたギャラリー逹も、一台、また一台と姿を消していった。
俺たちの喧嘩の実力はほぼ互角と言えた。
カツノリは間違いなく、左手の骨を折っているだろう。
俺は奴の蹴りを二度ほどまともに顔面に喰らい、前歯を折られてしまった。
「疲れたなあ!」
俺はそう言ってその場に座り込んだ。
ポケットに丸まって入っていたセブンスターと100円ライターを取り出し、痛みの酷い右手でゆっくりと火をつける。
「う~ん…喉が渇いたなあ…
カツノリ、お前お茶買ってこいよ」
「何だと?テメエが買ってこい!」
「バカ野郎、お前の方が5メートル自販機に近けえだろうが!」
「チッ…後でちゃんと金払えよな…」
カツノリは左手を庇うようにしながら自販機に向かう。
タバコの煙をゆっくりと吐き出しながら思った。
こいつとだったら楽しくツルむ事ができるかもしれない。