天使への判決




どれだけの時間殴りあっていたのか、記憶は定かではない。


時間が経つごとに大勢いたギャラリー逹も、一台、また一台と姿を消していった。



俺たちの喧嘩の実力はほぼ互角と言えた。

カツノリは間違いなく、左手の骨を折っているだろう。


俺は奴の蹴りを二度ほどまともに顔面に喰らい、前歯を折られてしまった。




「疲れたなあ!」


俺はそう言ってその場に座り込んだ。


ポケットに丸まって入っていたセブンスターと100円ライターを取り出し、痛みの酷い右手でゆっくりと火をつける。


「う~ん…喉が渇いたなあ…

カツノリ、お前お茶買ってこいよ」


「何だと?テメエが買ってこい!」


「バカ野郎、お前の方が5メートル自販機に近けえだろうが!」


「チッ…後でちゃんと金払えよな…」



カツノリは左手を庇うようにしながら自販機に向かう。


タバコの煙をゆっくりと吐き出しながら思った。

こいつとだったら楽しくツルむ事ができるかもしれない。



< 279 / 328 >

この作品をシェア

pagetop