天使への判決



この会社で制作するテレビCMの殆どは永瀬がプロデュースしている。

永瀬の秘書になるという事は、そのスケジュールを管理して撮影などに同行しなくてはならない。

撮影に同行すると数日は現地に入り浸りになる。








「どう思う?」

私はベッドに寝そべったままケンジに聞いてみた。


「いいんじゃね?」

天井を見つめたまま隣でタバコを吸っているケンジは、そのままの姿勢で呟くように返事を返した。


木山堅二。

私より4歳年上の27歳。

短く刈り込んだ短髪はいつ会っても根元まできつね色にしっかり染められていて、ケンジの几帳面な正確が表れている。

背も低く、決して色男とは言えない顔立ちだが、プロボクサーといってもいいくらい鍛え上げられている体つきは男としての魅力がある。

私はケンジとの今の関係に満足していた。

何よりベッドの中でのケンジは確実に私を満足させてくれる。


ふとしたきっかけで同棲するような形になった二人。

お互い束縛しない事が前提だ。

女関係の付き合いが多そうな彼の事を詮索すればきりがないし、どうこう言うつもりもない。





ましてや普段彼が何をしているのかは…

『堅気』の私が踏み込んではいけない領域なのだ。


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