天使への判決

ある日、バイクに二人で股がり夜の街を走っている時、カツノリが言った。

「なあ、ナオキ…
俺、東京に結婚を考えている女がいるんだ。」


「ああ!?何だって!?」


「だからあ!結婚考えてる女がいるんだ!」



普段自分の事をあまり口にしないカツノリが、東京に残してきた女の事を話した。


東京にいる時、族とヤクザの抗争に巻き込まれたというカツノリ。

その抗争が原因で族とヤクザ、その両方から追われていたそうだ。

命の危険を察知したカツノリは、好きな女に内緒で逃げるように地方にやってきたらしい。



「この前昔のチームの仲間に電話してみたんだ。

殆ど落ち着いてきたらしい。」


「……」



「だから、近いうち東京に帰るよ」




俺は、そう言ったカツノリの言葉が聞こえないフリをした。




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