天使への判決
2.激昂の男
カツノリはこの辺りでは、誰しもが知る有名人。
ケンカが強い上に正義感が強い。
チームを解散したのも、その『旗』より一人一人の身の安全を考えての事。
自分自身が引き起こした抗争に関しては、人一倍の責任感を感じていたという。
「じゃあ、なんで総長とカツノリは二人だけ身を隠そうとしたんだ?」
バイクの後ろに跨がるロン毛に聞いた。
「そりゃお前、二人とも守りたいものがあるからだろ?」
「女…か…?」
「ああ、特ににカッちゃんは彼女の事すごく大切にしてたからな。しかも、ごく普通の真面目な子なんだ。
だから余計に巻き込みたくなかったんだよ。」
「ふ~ん…」
優等生の考える事はよく分かんねえな。
守りたいものがあるなら、肌身離さず傍に置いておくのが普通だろ…
俺だったら絶対に離れたりしねえ。
俺達は池袋から少し離れた団地に入っていった。
都会の喧騒を外れ、古い家屋やアパートが建ち並ぶ。