天使への判決
俺は言われるがまま堅二さんに連れられて鳴水組に向かった。
鳴水組は繁華街のビルの一角。
江藤会のような大きな組織とは対照的なこじんまりした事務所だった。
「んで?江藤会がわざわざガキのケンカに介入するのか?」
鳴水組の組長は皮張りのソファーにふんぞり返るようにしながら言った。
完全に堅二さんを見下している、ふてぶてしい態度だ。
「いやぁね、鳴水組ともあろう組がガキのケンカに介入していたかどうか聞きたいだけですよ。」
「アホかお前は。うちの組は暴走族なんかに構っている程暇じゃねえんだよ。
知っての通り俺達のシノギは風俗なんだ。そんなガキどもと無関係の仕事なの!」
鳴水組の組長は手のヒラを振って『早く帰れ』と言わんばかりに鬱陶しい表情をした。
「おいおい、レッドスピードがアンタ達を切った際に乱舞に乗り換えたじゃねえか。ガキから金を巻き上げてシノギにしていたのはどこの組だよ。」
堅二さんの表情が次第に険しくなる。
「レッドスピード?何を言ってんのかよく解んないなあ…
だいたいガキが一人死んだくらいで、な〜にをムキになってるんだ?ケンちゃん。」
くっ…この野郎…
言わせておけば…