天使への判決
冷蔵庫から缶ビールを取り出して、それを勢いよく飲み干したケンジは、床に脱ぎ捨ててあったシャツとスーツに袖を通す。
黒いスーツに赤のワイシャツ、そして白いネクタイ
”いかにも”といった様相になりながら呟くように言った。
「今から会合に出席して、その足で集金だ。
今日は自分のアパートに帰る」
集金とは取り立ての事だろうか…
ケンジの世界に興味はあるものの、私は何も聞かない。
その方がお互いにとっていい関係でいられる。
「リサ、愛してる」
ケンジはそう言って私の部屋を後にした。
私はケンジが立去った後自分の部屋を見渡した。
ケンジの荷物が少しずつ増え、狭苦しくなった部屋…
ふと、無造作に置かれた書類に目が留まった。
ケンジの忘れ物だ。