天使への判決
「うひゃぁ…やっちまったよ…」
顔をしかめて、頭をポリポリと掻く堅二さん。
俺は何も出来なかった。
いや…
する間もなかった。
格が違いすぎる…
今まで散々ケンカをしてきて、地元には俺に敵うやつなんてほとんどいなかった。
東京でもそれは変わらない。
俺はそう思っていた。
「てめぇ…こんな事してただで済むと思ってるのか…?」
組長が、額から流れ出る血を手で押さえながら、身体をゆっくりと起こしす。
堅二さんは、そんな組長の姿を見下ろしながら、ニヤッと笑う。
「あぁん!?
てめぇこそ、うちのモンのダチを殺っておきながら、こんなもんで済むと思っているのか?」
組長の前に腰を屈める堅二さん。
その時、堅二さんの胸にしまってあった携帯電話が鳴った。
「ああ、ヨウスケか?
ああ…。ああ…。
んで?ガキはどうした?」
ヨウスケからのようだ…
「…ああ、わかった。」
堅二さんはヨウスケからの電話を簡単に用件を済ませて携帯を閉じた。