天使への判決
しかし、ある日を境にして堅二さんに着いて行くという俺の思いは粉々に打ち砕かれることとなる。
堅二さんの言葉が、絶え難い仕打ちのようにも思えた。
その日、シマの風俗店の見廻りを終えた俺は、一日の報告のために事務所に帰ってきた。
江藤会のシマの中にあるひとつの店が、鳴水にみかじめ料を要求されたという報告をするために…。
店からみかじめ料をとっているからといっても、そんなに普段から客とのトラブルや他のヤクザの介入があるわけではない。
みかじめ料はボディーガードという名のユスリである。
だからこそ、トラブルが起こるなど滅多にない。
いつもだったら、電話かメールだけで報告を済ませるのだが、この日に限っては堅二さんに直接会って話す必要があったのだ。
「はぁ…。カツノリの時に引き続き、またあいつらかよ…。」
カツノリの件は、乱舞のリーダーが捕まったとはいえ、俺にとって解決した話とは到底言えるものではなかった。
あれから長い月日を重ねても、俺の胸の支えがそう易々と消えるものではない。