天使への判決
事務所に入ってみたが、誰もいない。
今日は月末だから多分若頭のところだろう…
そう思った俺は、3階にあるシュウイチさんの部屋を訪れる。
時間は既に深夜を回ろうとしていただけに、事務所内は閑散としており、シュウイチさんの部屋だけ明かりが漏れていた。
「朝戸は関係ないですよ!」
部屋の前に差し掛かった時、堅二さんの声が聞こえた。
「中山組に根性の座ったヤツなんて誰もいないですって。」
俺は、室内に入るのを躊躇い、ドアの前で立ち止まった。
「舎弟ちゅうてもやなあ、お前が中山組の女に手ぇ出しちゃ、示しがつかんやろ?」
また女の揉め事かよ…
堅二さんの女癖の悪さは天下一品だな。
「それは、それじゃ…」
ドンッ!!
堅二さんの声が聞こえるや否や、机を激しく叩く音が静かな組のビル内に響き渡った。
「アホか!お前は!」