天使への判決
目の前が急に真っ暗になる。
心臓が激しく脈打ち、全身から生気が蒸発してしまいそうな感覚を覚えた。
と、同時に吐き気を催した俺は、慌ててトイレに駆け込んだ。
「はあっ…はあっ…
うっ!ぐえっ…!」
嘔吐物と一緒に涙が溢れ出す。
耳の奥でこだまする堅二さんの言葉。
『朝戸があのガキを殺って、一年が経とうとしてるんですよ。』
朝戸がカツノリを殺った…
堅二さんは…
最初から知ってて、隠したんだ…
殺人者を匿うために…
そして、俺を利用した。
『お前は気分ええやろうなあ。
鳴水へのケジメを付けれた上に、朝戸を守れた。』
『なあ、ナオキ。俺と一緒に日本一の組を…』
『せっかく事件を隠蔽したっちゅうのに…』
『お前の夢はなんだ…』
『朝戸があのガキを殺って…』
うっ…
うっっ……
取り留めのない憤りに見舞われながら顔をゆっくりと上げる。
俺は、鏡に映った狂気の顔を睨んだ。