天使への判決

たしかにユウコの言う通り、総務部の人数が足りない。しかも経理事務はたった四人しかいないのに、毎月数百件に登る納品請求書の処理をしなくてはならない。


「あ~あ…経理なんか辞めて製作に配属してもらえないかなぁ…」

ユウコは入力する手を休めると、頬杖をついてため息を洩らした。


「そう?製作も大変そうじゃない?毎日残業ばっかだし…」


眠い目を擦りつつ、奥のフロアーに目をやった。

仕事に復帰した高山さんが、デザイナーの入江君とポスターを見ながらに、レイアウトの打ち合わせを行っている。

ポスターは南国の海バージョンと、屋久島の森バージョン。和装のサクラバージョンの3種類がほぼ完成されていた。


いずれも、私がでかでかと登場している。


ピュアリスの新作『セイレン』

そのプロモーションのスタートに合わせて、私の顔も全国へ露出されることになる。







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