天使への判決
第1章
1.突然の別れ
6歳の誕生日を迎えたばかりの里沙
昨日の夜から殆ど眠る事はできなかった。
今日は家族で旅行に出かける・・・
里沙の家は父親が事業に失敗し、食べていくのが精一杯の生活を送っていた。
6畳とキッチンの小さなボロアパートで父親と母親と里沙の3人暮らし。
生まれてからこのかた、『旅行』というものを経験した事のなかった里沙は、保育園の友達からたまに聞かされる『旅行』というものに憧れを抱いていた。
少し前に母親から
「誕生日欲しいものある?」と聞かれたので
里沙は思い切って、
「旅行に行きたい」と言ってみた。