天使への判決
こいつらが何をしにここに来たのかは、顔を見ただけで容易に想像がつく。
最近、いい気分で呑んでいる時はいつもこうだ。
どいつもこいつも寄ってたかって俺のジャマをしやがる。
「はあ…」
思わずため息をついた俺の隣では、ナオキが臨戦態勢に入っていた。
「よお、木山チャン。えらいかっこいいじゃねえか」
さっきのチンピラの声が背中越しに聞こえた。
「はあ…」
俺の口から2回目のため息が溢れる。
「さっきは偉そうに説教垂れて恥掻かせてくれたじゃねえか」
こ…
コイツはバカだ…
さっきのが”恥”と感じているくせに
仲間を引き連れに帰って…
集団でケンカを売りにきた…
さっきの事より、よっぽど恥ずかしい事じゃないのか…
あ…
もしかしたら…
飲み代が払えなかったから
友達に借りに行ってたんだ…
きっとそうだ。
そうでないなら、
こいつはここでボコボコに殴られて
さらに恥ずかしい思いをすることになる。