天使への判決


俺は振り返って、一人一人の顔を覗き込んだ。


「お前ら、俺にケンカを売りに来た事、朝戸は知ってんのか?」


後から揉めるのはまっぴらだったので、念のために確認する。

中山組の若頭、朝戸とは兄弟分の盃を交わした仲だ。


朝戸の知らない所で、兄弟分の舎弟に怪我を負わせたとなると面倒だった。


「あ、朝戸のアニキは関係ねえ!」


明らかに動揺している。

組の規模で言っても、江藤会はこいつらの中山組とは比べものにならない程大きい。

抗争なんかに発展したら、責任問題じゃ済まされないのだ。



「そうか、お前達に何かあっても、朝戸は文句言えねえんだな。……まあ、いいや。だが俺は店の中で暴れるほど非常識じゃない。表に出るか…?」



俺はそう言って立ち上がった。



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