天使への判決
目の前の男が握りしめたドスから滴る血が誰のものなのか、理解したのは、自分の足元を見てからだった。
暗くてわかりにくかったが、大量の血が俺の足を舐めるように伝わりながら、その場に流れ落ちる。
「ウッ…」
俺はその場にうずくまった。
…言葉が出ない。
なんか…
苦しいぞ…おい…
どうなってんだこりゃ…
男は転がっているチンピラを抱えるようにして、ここから去って行く。
その時、
「キャー!!!」
甲高い女の悲鳴が夜の闇にコダマした。
俺は、薄れゆく意識の中で、女の顔を見上げた。
リサ…