天使への判決
それからというもの、俺は何度もシュウイチさんの元に足を運んだ。
どんなカタチでもいい…
ただ恩を返せる方法を、一生懸命探していた。
最初のうち煙たがっていたシュウイチさんも、俺があまりにも熱心に通うもんだから、次第に心を許したそうだ。
「堅二…男ちゅうもんはな、夢を大きく持つもんや」
タバコを口にくわえたままシュウイチさんが話す。
「そしてその大きな夢を叶えるため、がむしゃらになることや」
シュウイチさんが話す関西弁は不思議なイントネーションで、子供心に大きなインパクトを残した。
夢…
俺の夢は何だろう…
黙り込んだ俺を見て、シュウイチさんはガハハハと大きな口を開けて笑う。
「まあ、中坊のお前に言ってもわからんやろな。そのうちやりたい事なんて自然にみつかるもんや」
そう言って、俺の頭をポンポンと叩いた。
「やりたい事がみつかったら、俺んとこ相談に来いや」