天使への判決


この男の名前は『朝戸尚彦』

中山組の組長の娘と結婚し、俺と同じ歳にして中山組の若頭を務める、いわばマスオさんヤクザだ。

背が低く、筋肉体型の俺とは違い、長身で均整のとれたスタイルと外国人と見間違うような彫りの深い目鼻立ち…

モデル雑誌から出て来たような皮肉な容姿をしている。

しかし容姿端麗のくせに、気取ったところがひとつもない。

俺はそんな朝戸の人柄が好きだった。


朝戸とは昔からの腐れ縁で、兄弟の盃を交わしている。


こんな事が無ければ、一生いい関係でいられたと思う。



「姉ちゃん、ワリィけどちょっと席外してくれねぇかな?」


朝戸はそう言ってスクッと立ち上がり、窓際に向かうとブラインドを閉めた。



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