天使への判決
「伯父家族に引き取られて、リサは幸せだったのか?」
俺の問いに、田子森婦長は首を横に振る。
「詳しくは知らないけど、彼女の伯父の家もかなり大変な経済状態だったみたい。
しかも伯父さんはリサちゃんのご両親の死後、アルコールに呑まれてね…」
そう言って、田子森婦長は唇を噛み締めた。
「次第に暴力を振るうようになったの」
伯父の暴力がどれほどだったのかは、田子森婦長の表情で安易に汲み取る事ができる。
俺はいつしか、リサの幼少期に感情移入していた。
自分自身の辛かった体験に気持ちをダブらせていたのだ。