天使への判決


「あっ!そうだ!

リサちゃんから預かりものがあったの」



田子森婦長はそう言うと、おもむろに自分のポケットを探り、一枚の紙切れを取り出した。


『退院したら、お見舞いのお礼に、フランス料理にでも連れて行く事。』


そう書かれた紙切れの下の方には、控え目に携帯のアドレスが添えてあった。


リサらしいぶっきらぼうなデートの誘い。


「言っておくけど、私は恋のキューピットなんて真っ平だからね!

自分自身の事で精一杯なんだから」


喜びを噛み締めて含み笑いをする俺の頭を、田子森婦長がカルテのファイルで小突いた。



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