天使への判決
「さあ? 俺のところには来てませんが…」
俺は何となく悪い予感を感じていた。
今までナオキが俺にもリュウジさんにも何も言わずに行方を眩ます事なんて、一度足りともなかった。
それどころか、どうでも良いような細かい事までいちいち報告をするナオキは、いい加減うるさいと思えるくらい、神経質で几帳面な性格なのだ。
「心当たりを俺もいろいろと当たってみますんで…」
そう言って電話を切った。
もし俺の悪い予感が当たれば、リサとのデートは延期になるだろう。
病院を出た俺は、ヨウスケの運転する車でとりあえずナオキのアパートへ向かった。
途中、電話をかけるものの、数コールで無機質な音声ガイダンスに切り替わる。
何度かけても同じ事の繰り返しだった。