この想いを君に…
「むっちゃん!」

パドックに悠斗と香奈がやって来た。

その後ろには芳弘パパと雅ママ。

サーキットまでは遠いので車で来たみたい。

「遠い所、ありがとうございます」

パパは悠斗の両親に頭を下げた。

「いやいや、俺も見たかったし、今回は悠斗がうるさくて…」

芳弘パパはチラッ、と悠斗を見た。

「今日は絶対に来たかったの!」

悠斗はあたしを見て笑った。

「むっちゃん、頑張ってね!」

初めて見る色々なものに圧倒されながらも香奈はあたしに抱きついた。

色々な人の期待が自分の肩にのしかかる。

重圧?

…いや、それよりも。

自分の中で、得体の知れない何かが。

飛び出す、そんな感じだった。
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