この想いを君に…

「…という訳だから」

光さんは改めて両親に面と向かう。

「俺、来年も走るわ。
大阪へ戻る話も、見合いの話も、当分凍結しといて」

「…見合い？」

思わず、顔を上げて光さんを見つめた。

「…大阪に帰ってくるなら早く結婚しろ、やって」

煩わしそうに光さんは首を振る。

「結婚は、ライダーのままでも出来るんやで？」

光さんのお母さんは悔しそうに光さんを見つめる。

「…ええやん、独身でも。
ええ人なんておらんし」

「光！」

お母さんは少し怒り口調で

「お父さんもお母さんも若くない。
早く孫を見たい、と思う事があかん事か？」

光さんは一瞬、遠くを見つめて再び視線を両親に戻した。

「…誰でもええっていう訳じゃないで。
綺麗な子、可愛い子は今まで何人も言い寄ってきたけど。
俺には合わんかった」

光さんはため息まじりに大きく呼吸をすると

「…ホンマ、ごめん。
迷惑かけっぱなしなのもわかってる。
早く結婚しろ、っていうのもわかってる。」

でも…



光さんは力強く両親を見つめた。